現在、エピテーゼ製作には、特定の国家資格や公的な免許制度は存在していません。
そのため、エピテーゼ製作は特定の専門職として制度化されることなく、特殊メイク、医療・歯科技工、義肢装具、あるいは一般の立場など、異なる背景を持つ人が個別に担ってきました。
その結果、製作方法が統一されず、品質についても統一された基準が存在しない状況となっています。
本記事では、エピテーゼ製作が社会の中でどのように扱われてきたのか、また近年の公的支援制度との関係の中で、仕事として整理が求められている前提について整理します。
エピテーゼ製作に資格制度はあるのか
担い手には、特殊メイク分野で造形や着色を学んだ人、医療・歯科技工・義肢装具などの関連領域の経験者、独学や別分野から参入した人などが含まれます。
背景や経路は異なりますが、身体の一部を再現する製作物として、「エピテーゼ」という名称で社会に提示されてきました。
なぜエピテーゼ製作は制度化されてこなかったのか
欠損や外見の変化は、長く個人が抱える私的な問題として扱われてきました。
治療や手術の結果として生じる外見の変化についても、公に語られる機会は限られており、支援や制度の対象として整理されにくい側面がありました。
そのため、エピテーゼ製作は、統一された前提を持たないまま、多様な背景の人によって、個別対応のかたちで関わられてきました。
エピテーゼが公的支援の対象になり始めた理由
がん治療の生存率が向上し、治療後も社会生活を送る人が増えています。その中で、治療や手術に伴う外見の変化が、生活上の課題として表面化してきました。
こうした状況を背景に、近年、がん治療や外傷による外見の変化に対し、自治体による購入費助成制度が始まっています。
現在、アピアランスケアの一環として、医療用ウィッグや補整具の購入費を助成する制度が設けられており、その対象品目の一つとして、エピテーゼが含まれる例も見られます。
医療用ウィッグは、国家資格を必要としない形で製作や手入れが行われてきた補整具です。制度上、エピテーゼも同様に、治療行為そのものではなく、外見の変化に対する補整具の一つとして扱われています。
一方で、このように制度上の扱いが広がる中でも、エピテーゼ製作については、その前提や考え方が、社会的に十分整理されないまま進んできました。
仕事として位置づけられ始めた中での前提整理
エピテーゼ製作は、資格制度を持たない行為として成立し、多様な背景の担い手によって行われてきました。近年、アピアランスケアの枠組みの中で、エピテーゼが公的支援の対象品目として扱われる例が生まれたことで、その社会的な位置づけは変化しつつあります。
こうした状況の中で、エピテーゼ製作を仕事として扱う際に、どの前提が整理されていないのかを明確にすることが求められています。
まとめ
エピテーゼ製作は、現時点では特定の国家資格や公的な資格制度がありません。
そのため、製作に関わる人の背景や立場は統一されていません。
一方で近年、がん治療や外傷による外見の変化に対する購入費助成制度が広がり、アピアランスケアの枠組みの中で、医療用ウィッグや補整具と並び、エピテーゼが助成対象品目として扱われる例が生まれています。
このように、制度上の扱われ方が変化する中で、エピテーゼ製作を仕事として見た場合の位置づけや、その前提となる考え方は、十分に整理されないまま残っています。